起業の詳細について
形態(法人or個人事業主)
個人事業主
起業した経緯
地元に帰ったのを機に仕事を探していたが、自分でもなにかひとりでできるビジネスをやってみようと思った。学生時代に個人契約での家庭教師の経験があったので、それを活かして起業しようと考えた。教えるということには慣れていたし、無料で使える学習プリントがいろいろあるということも知っていた。結局、昼間にアルバイトをして、夕方から夜にかけて家庭教師の仕事をするというライフスタイルになり、それを五年ほど続けていた。
起業前の経歴
大学在学中は、イベントスタッフやピザのデリバリー、映画館でのコンセッションスタッフ、居酒屋のホールスタッフなど、さまざまなアルバイトを経験した。大学を卒業した後は、都内の編集プロダクションで正社員として働いた。その後転職し、同じく都内のパン屋で一年間ほどアルバイトをした。地元に帰ってから家庭教師の事業を立ち上げるまでは、家電量販店でアルバイトをしていて、起業してからも家電量販店の仕事は続けていた。
起業内容
小学校から高校生までを対象とした個人契約の家庭教師の事業をしていた。一応の年齢の区切りはあったが、実際には五歳か七十歳までの年齢の人々を幅広く教えていた。また、家庭教師として生徒の家に指導に行くことが多かったが、それが難しい場合などは自宅で指導することもあった。春季、夏季、冬季といった長期間の休みは、自宅に生徒を招いて特別指導を行った。指導教科は中学生までは全教科、高校生以降は文系科目のみにしていた。
イメージしていた成功ストーリー
昼間のアルバイトと兼業しながらの起業だったので、合計で月15万円ほど稼げればいいなと考えていた。アルバイト代が月約7万円から8万円ほどだったので、家庭教師の事業では月7万円ほどを稼ぐことを目標にしていた。定期テスト前などは指導日の追加を頼まれることが多いし、生徒が受験生になれば週の指導日を増やしてほしいといわれることが多かったが、それ以外ではあまり指導日の追加が見込めないことがあり、そういうときは月の収入も少なかった。
サービス・商品メニュー内容
学生に対しては、学校で配布されたドリルやインターネットで無料で印刷できるプリント、あるいは市販のドリルなどを使って指導していた。学生以外では、たとえば小論文の書き方の指導の依頼があればそのとおりに教え、大人の英語学習の指導のときは市販のドリルを活用して指導していた。学習指導以外では、レポートや卒業論文の手伝いをすることもあった。教育にかかわるさまざまなことを、依頼されれば断らずに面倒をみるようにしていた。
上手くいった点
最大で七人の生徒を同時に抱え、個人契約の家庭教師としてはかなり忙しい部類だったと思う。幅広い内容の依頼にこたえるために、自分自身の勉強の復習も手を抜かずに行っていた。また、生徒たちと仲良くなるために勉強以外の話題にもアンテナを張っていたし、生徒ひとりひとりの誕生日を把握しておくなどのきめ細やかな愛情をそそぐように心がけた。もともと子供が好きではないので、それをなるべく悟られないように、友好的な存在であろうとした。
失敗した点
事業を始めたころ、時給を安く設定しすぎて、ものすごくモチベーションがさがったこと。また、クレーマー気質な親の扱いに慣れていなかったころはトラブルになったり、面倒なことになったりして大変だった。どの親でもわが子がかわいいのはよくわかるが、無茶ぶりや契約内容以外のことを要求されたりするのは本当にまいった。それから個人契約で最初に交わしている契約書では辞める場合は一ヶ月前以降に申し出ること、と定めていたが、急に今日で辞めますという家庭がいくつかあって困った。
特に心に残っている失敗エピソード
とても勉強がきらいな中学三年生の女の子を指導したとき、父親からのへんな要求が多くて困ったのが特に印象深い。たとえば指導以外に進路について相談にのってほしいと言ってきて、相談にのる時間は時給が発生すると説明したらゴネたり、お手製の給料袋を作って持ってきてここにハンコをおして父親が作った書式にのっとる形で金額を書いてほしいと言ってきたり、なにかと面倒だった。指導中も途中から父親が部屋の中に入ってきて後ろに座り、生徒が集中できなかったりした。
起業の結果について
人数(社員やアルバイト)
1人で行っていた。
最大月商
月7万円
最大借金
0円
結果(今の状態)
現在、個人事業として個人契約の家庭教師は廃業した。その理由はさまざまあるが、一番大きな理由は親の対応が面倒くさすぎること。自分の子供のレベルと、親の要求が明らかにかみ合っていないのに、子供に高レベルなことを要求しすぎてダメになるパターンをみるのにうんざりしてしまった。最初の面談の時点でなるべく面倒そうな案件はお断りしていたのだが、それでも特に受験になると親だけが熱くなってしまうことが多く、仲を取り持つのが大変すぎた。
過去の自分が改善すべきだった点
最初のうちから、問題のありそうな家庭とはかかわらないようにすべきだった。最初のころは顧客を獲得しないといけないと思っていたので、多少問題がありそうでも引き受けていたが、それが失敗だった。面談で親ばかりがしゃべってくるとか、子供は明らかに勉強に乗り気でないとか、もしくは家族総出で面談にくるとか、どこかしら問題のある家庭を見分ける力をはやめにもっておくとよかった。依頼を断ることも、個人事業においては大切なことだ。
これから起業する人へのアドバイス
自分の直感をあなどってはいけない。なんだかこの依頼、やめておいたほうがよさそう、と思えばためらわずにやめておくのがいい。無理に引き受けても大変なのは自分だ。一度引き受けてしまえば顧客は全力で注文をつけてくるし、それをできませんというのは至難の業だ。顧客はどこまでいっても顧客でしかないし、仮にそのせいで自分が体調を崩しても一切助けてはくれない。ビジネスである以上、へんな情は持たず、ドライにいたほうがいいと思う。
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