起業の詳細について
形態(法人or個人事業主)
有限会社
起業した経緯
長らく米国の航空会社で通算28年近く勤務しました。2番目に勤務した航空会社が買収を受け、買収された側として3社目の米国本社から酷いパワハラを受けることになり、5年ほと辛抱強く勤務した後に自ら起業のため、退職することとしました。買収された3社目では、同僚から起業の話が持ち込まれ、時間を掛けて起業計画を立てたのですが、結局は同意に至らず、途中で頓挫しました。その後、たまたま新聞で代理店募集記事を見て応募したのが、起業のきっかけです。
起業前の経歴
自宅近くに米軍基地があった関係で、幼少の頃から何故か将来は米系企業で働くことに決め、大学は英文科へ進学。学生アルバイトで米国の3大通信ネットワークであった某大手通信社の東京支局に勤務。卒業後、その経験を買われて某米国航空会社の東京支店に入社すると通信課に配属。3年後にスカウトされて別の米国航空会社へ転職。その後、この2社目が別の米国航空会社の買収を受けました。この買収が、将来の起業を決める最大のキーポイントとなりました。
起業内容
新聞広告で目にした、当時飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける某大手通信会社が代理店の募集を掛け、それに応募したのです。当時、少しずつ認知され始めた携帯電話を販売するのが主要な目的でした。電話で個人宅に狙いを定めてテレアポを掛け、後に自宅を訪問して実際に携帯電話を操作しながらの営業をするという事業形態でした。小さな店舗を構えたので飛び込み客に他の通信機器(ファックスなど)を販売するのが副次的営業となるのでした。
イメージしていた成功ストーリー
当時は、世の中に携帯電話が認知されたばかりの頃で、爾後のブームに便乗して、携帯電話の普及とともに営業利益が右肩上がりで確実に伸びると想定したのです。首尾よく営業利益が徐々に上がった場合は、他の通信機器へと手を広げる目算だったのです。30年近くの航空会社の通信課勤務での体験から、今後の爆発的な携帯電話の普及を夢見たのでした。爆発的に普及することを願って止まなかったのです。上手くいくと確信すらしておりました。
サービス・商品メニュー内容
携帯電話端末およびその付属品や備品。ファックスや電話機などの小物通信機器。それと自動車保険の代理店業務(資格保持者)
上手くいった点
オーナー企業からの適切な指導の結果、当初はそれなりの営業利益が出ました。辛抱強くテレアポを繰り返し、根気強く個別訪問を続けた結果だったのです。そして、少し損失を出し始めた時には、過去の細かな営業データーを将来の展望を予測した書類を手に政府系の融資機関を足繁く訪問した結果、その公的資金の融資を受けることが出来て、暫くは会社を維持することに成功したのです。これは本当に奇跡に近い出来事で、思わず万歳をしたくらいです。
失敗した点
当初の想定よりも担当営業地区のニーズが少なかったこと。未だ需要が煮詰まらず、思ったより伸びなかったのが現実だったのです。それに追い打ちを掛けるように想定外の事態が勃発したのです。大手の携帯電話会社2社が地元へ進出してきたのが、大変な誤算だったのです。直ぐに大きな支店を構えると、連日の大々的なチラシ攻勢で販路の拡大を図ったのが大変な打撃だったのです。連日にわたる新聞のチラシばらまき、それに加えて街頭でのティッシュ配りが、彼らに取っての大跡作戦だったのです。
特に心に残っている失敗エピソード
電話帳に基づくテレアポ後に、個人宅を訪問するのが主要な事業形態でしたが、なかなか目標通りの営業利益が上げられませんでした。実は、幾つかの理由あり、最も顕著なのが、居留守を使われることでした。テレアポに応じ、日時の約束をしながら、意外にも居留守を使う家庭が多かったのです。社用車で家庭訪問をする訳ですが、途中の渋滞地区を避けて必死に約束時間に間に合わせた時の居留守にはかなり辛いものがあり、悔やみ切れません。
起業の結果について
人数(社員やアルバイト)
アルバイト3人
最大月商
100万円
最大借金
1000万円
結果(今の状態)
その後も利益が上がらず、休眠状態のまま現在に至ります。
爾後、某企業の外国人専用高級賃貸マンションのマネジャーを定年退職し、現在は無職。借金は、全て弁済しましたので、悠々自適の年金生活者となりました。暇を持て余しておりますので、時折CWのテレワークをしております。なお、居住地区の「国際交流協会」に登録して、鋭意ボランティア活動中です。これは、来日間もない外国人日本語を無料で教えるというものです。結構、忙しいです。
過去の自分が改善すべきだった点
市場調査が不十分だった点が、特に悔やまれます。将来、大型店舗が進出する可能性の是非を調査すべきでした。取り扱う商品の市場調査はもちろんですが、同業他社の進出機会も念頭に置いた確たるマーケット調査を外すべきではありません。現在の携帯電話の普及振りを目の当たりにすると、もう少し努力すべきだったかと悔恨の気持ちが胸を打ちます。しかし、早めに見切りを付けた結果、ある程度の借金で済んだのがせめてもの慰めとなりました。
これから起業する人へのアドバイス
これから起業する方は、自身が参入する市場のマーケット調査を慎重に行う必要があります。現在の市場需要、将来の展望、経済との絡み。特に自身の営業担当地区にライバルが出現する可能性の是非を探るのは、最大のポイントです。それと事業資金ですが、多少でも余裕を持って、親戚・知人・友人または公的資金などをあてにせず、何とか無借金での営業を続ける努力を惜しんではなりません。事業を辞めるかどうかの瀬戸際まで諦めずに頑張りましょう。
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