起業の詳細について
形態(法人or個人事業主)
法人
起業した経緯
ファッションの専門学校を卒業した後に、新卒で海外製婦人靴の輸入代理店に正社員として入社し、そこで営業の仕事をしているうちに起業意欲が生れてきました。5年間その企業に勤めながら、輸入貿易の知識と外国語を学び、少しづつ準備を進め、それに合わせ自己資金を貯め、その5年間で200万円の資金を貯めました。法人を設立するために必要な書籍を何冊も読み、独立経験のある法人の代表からもよく設立当時の話を聞くようにつとめていたため、比較的起業の際の苦労は少なかったかと思われます。
起業前の経歴
高校までは出身でもある山陰地方の学校に小中高と通い、高校卒業後、新宿の文化服装学院という専門学校に通うために上京しました。文化服装学院では縫製などの服飾のノウハウではなく、流通などビジネスの課でファッション業界の勉強を学んでいました。専門学校を卒業後、東京の渋谷にある某インポートシューズブランドの輸入代理店に、新卒採用で正社員として入社しました。その後、5年間営業職を務め、26歳の時に自身が代表となる法人を設立し起業に至りました。
起業内容
起業した会社の主な業務は、会社員として勤めていた輸入代理店と同様、輸入代行や小売企業への卸し売りがメインとなります。イタリアやフランス、ロンドンといったヨーロッパの国々のブランドを主に扱っており、稀に韓国や中国といったアジア区域のブランドも取り扱うことがありました。日本国内のブランドや工場とは取引がなく、100%インポートブランドの輸入代理店になります。卸先の取引先は、百貨店や駅ビルなどのショッピングセンター、地方の小売店に営業をして取引先を増やしていきました。
イメージしていた成功ストーリー
起業前は、初年度のみ赤字で、2年目からは毎期黒字で決算を終え、3期目で営業利益1000万円、5期目で年間売上1億円を達成するという青写真を描いていました。法人設立時は自分自身のみの1人企業でしたが、徐々に徐々に従業員を増やしていって5期目満了時には最低でも10人以上の正規社員を雇用しようと、理想のストーリーをイメージしていたのです。最初は、裏原宿にあるエレベーターのない雑居ビルの上層階に狭いオフィスを構えました。資金が貯まり次第、大通りに面した、綺麗でお洒落なビルに引っ越したいと思っていました。
サービス・商品メニュー内容
インポートのファッションブランドと、6~9社ほど取引があり、主に、パリかミラノのブランドで、レディースのシューズとバッグがメインの商材となっていました。
上手くいった点
はじめて表参道で開催した展示会には、会社員時代に取引のあった企業や小売店のバイヤーさんがたくさん訪れてきてくれたため、はじめてのシーズンのオーダーは、予想よりもはるかにたくさんの受注を得ることに成功しました。正直この時は、もっと早く起業していればよかった、会社の経営というのはこんなにも簡単なものなのかと、有頂天となり、とても充実した毎日を送っていたと思います。今にして思えば、この時が人生のピーク時でした。
失敗した点
初年度の展示会での受注や、その後の輸入手続き、納品に至るまで、全てがうまく事が進んだため、資金も潤沢に増え、金融機関からも1期目の決算前とてはかなり大額な融資を受けられたためこのまま全てが上手くいくと思っていたのですが、起業して間もなく順調に行き過ぎてしまったが故に、本来怠ってはならない既存取引先への営業や、新規取引先の開拓など、元々起業前にはやる気は満々だった努力を怠ってしまい、業績はみるみる悪化し、気持ちを切り替え初心を取り戻した時には、もう既にほとんどの純資金を失っていました。
特に心に残っている失敗エピソード
東京に自社の店舗をオープンしようと思い、表参道の一等地の空きテナントを借りたのですが、その後会社の業績が悪化したため、早々に閉店することとなったのですが、半年解約の契約だったため、解約手続き後も、半年間の間、高額な家賃を払い続けることになり、この6ヶ月間は地獄を味わうこととなりました。敷金は最終的に戻ってきましたが、礼金も非常に高額だったため、完全に引き払いが完了して時点では、取り返しがつかない程の大赤字となっていたのです。
起業の結果について
人数(社員やアルバイト)
役員 1名 ( 本人 )
社員 1名 ( 1期目~2期目 )
アルバイト 1名 ( 1期目~2期目 )
最大月商
850万円
最大借金
2000万円
結果(今の状態)
今現在は、もういつ倒産してもおかしくない状態となっています。大手金融機関3行と政策金融公庫から借り入れして融資は、毎月の返済がままならなくなったため、リスケを行い、今はそれを細々とできる範囲で返済を続けています。何度自己破産をしようと考えたか、もう数え切れません。今この文章を自分で書きながらも、過去を思い出して泣きそうになってしまいます。正直何のために会社を経営しているのか、本当にわからなくなってしまいました。
過去の自分が改善すべきだった点
起業したばかりの最初の1期目に、目標の何倍もの売上を達成できたのだから、そこで驕って慢心することなく、初心を忘れないまま経営努力を続けるべきでした。今となってはもう遅いのですが、8年前にタイムスリップして一からやり直したい気持でいっぱいです。もしもそれが叶うのであれば、今度こそ会社を大きくして、社会貢献もできるような、人に見せて恥ずかしくない、自身で誇れる会社を作りっていきたいと思います。2期目の失敗が全ての過ちのはじまりでした。
これから起業する人へのアドバイス
私ももし、最初から上手くいっていなければ、今は逆にもう少し安定した経営ができていたのではないかと思います。失敗を恐れずに、起業というチャレンジを試みてみてください。はじめの一歩でつまずいたとしても、その時点であれば、まだまだいくらでも修正が効きます。そしてもっとも肝心で私だからできるアドバイスは、もしも起業して間もなく成功してしまい、手に余るような資金を得てしまったとしても、絶対にそこで調子に乗ってはいけません。極端な言い方をすれば、そのお金は無いものと思って仕事をしてもいいかもしれないほどです。1歩目に必要なものは勇気。2歩目に必要なものは慎重さです。その2歩さえ間違えずに歩み出せれば、きっと最後まで上手く行くことでしょう。
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