起業の詳細について
形態(法人or個人事業主)
法人
起業した経緯
長年サラリーマンをしていると、同僚や取引相手の中には独立する者がいる。独立した者の多くは、「大変だけどヤリガイがある」と言う、長年サラリーマンをしていて自分のヤリガイとは何だろうか?
若い時はヤリガイを実感していたと思うのですが、子供が出来てからは子育てのため住宅購入資金返済のために働いており、ヤリガイは全くない。
サラリーマンを続けても大変なのは同じ、どうせ大変ならヤリガイを感じて働きたい、イヤ、ヤリガイを感じて生きていたい。
今までしてきたことは無駄にしたくはない、今までの経験が活かせるのはアパレルの世界だった。
長年サラリーマンをしていると、それなりのコネはある、独立することを相談すると「力になるよ」と言ってもらえて起業しました。
起業前の経歴
大学に通っている時からアパレルに関わる仕事(当時はアルバイト)をしていました。当初は流行りの傾向などを調査、それを元にした商品作りをしていたのですが、正規で働くようになると、同業他社からの仕事も受けることが多くなり、勤めていた会社の業績は著しく伸びました。
私は企画から製造、販売まで全て経験があり、どの分野にも精通している。ライバル社であっても、同業者が困っていれば助けに行った、助けられたこともあり、私がサラリーマンをしてる時は互いに相互関係にありました。
企画・製造・販売全てを1つの会社で全てを行うとなると、何かあると共倒れになるリスクがあるため、それぞれの会社を作ることになりました。
勤めていた会社を分社化した場合、出資を受ければ子会社になり、自分のヤりたいことは制限が掛かる。
完全に独立した形にするために、自分で資金を調達しました。
起業内容
洋服の製造。
洋服には女性物と男性物とがあり、製造メーカーではどちらかをメインにするものですが、私が起業した頃は女性が男性物の洋服を着るのがトレンドになっており、女性物も男性物も区別せず作りました。
仕事は製造のため、まずは型を作らなくてはならない、その型に合わせて生地を裁断、裁断された生地を縫うなどして製品を作るのですが、私の会社は縫製で終わり。
プレス(アイロン掛け)は他社に依頼。
縫製ばかりだと男性の人材を確保するのが大変なため、企画や販売もしている形にはしてありましたが、実態は製造のみでした。
イメージしていた成功ストーリー
かつて働いていた会社は企画から製造・販売まで全て行っており、その製造部門を担うことで私は独立起業。
全て行う会社から仕事が発注されるため、仕事に困ることはない、借金して起業しても、安定した収益により返済は出来る。
借金を返済したら規模を拡大し、自分のところでも企画・販売をし社会に貢献したい。
製造(縫製)では女性がメインで働くのですが、企画から販売まで全て行うには男性も必要、職場の男女比が拮抗するような会社であれば業績も伸びる。
サービス・商品メニュー内容
製造した洋服は店頭だと5000円から10万円程で売られています。バーゲン時には値引きされるのですが、ブランド価値を損なわないようメチャな値引きはしません。
上手くいった点
コストの割合で大きく占めるのが人件費。人件費は都市部より地方(田舎)のほうが安いため、工場は地方に作りました。
地方だと働く場が少ないため、求人を出すとスグに人は集まった。都市部で働く人より、地方の人の方が素直、素直なため仕事を覚えるのが早い。
地方だと親戚付き合いがあるため、使えそうな人材は親戚にも「うちの会社で働かない?」か声を掛け、親戚中が協力して働いてくれました。
都市部だと仕事が終わったら飲みに行ったり、遊びに行ったりするのですが、地方だと娯楽施設が無いため、残業をお願いすると快く受けてくれました。
失敗した点
コストの割合で大きく占めるのが人件費。人件費は都市部より地方のほうが安いため、工場は地方に作りました。
地方だと働く場が少ないため、求人を出すとスグに人は集まったのですが、地方の人は競争意識が薄いため、何をするにしてもノンビリ。
ノンビリ作られては納期に間に合わない、急いで作るよう指示を出すと、「辞めさせてもらいます」。
地方だと親戚付き合いがあるため、使えそうな人材は親戚にも「うちの会社で働かない?」か声を掛け、親戚中が協力して働いてくれたのですが、1人が会社を辞めてしまうと、他の親戚も「私も辞めさせてもらいます」、そのため従業員が1人辞めると親戚も一緒にゴッソリ辞めてしまう。
地方だと娯楽施設が無いため、仕事以外で楽しいことはなく、息抜きをするのが大変でした。
特に心に残っている失敗エピソード
納期に間に合わせるのは当たり前だと思って私は生きて来た。
この考えを持って起業すると、雇用する者と雇用される者とでは、当たり前が違うことを思い知らされました。
納期に間に合わせるよう従業員に指示を出すと「頑張ります」、「頑張ります」とは言うものの、ノンビリ働くのが子供の時から当たり前になっているため、中々ピッチは上がらず生産コストは下がる一方。
夜遅くまで働くため、時間が気になるのは理解出来る、しかし、納期には何がなんでも間に合わせなくてはならない。
そんな時に会社に訪問者、訪ねてきたのは従業員の父親。私はてっきり迎えに来たと思い、残業で遅れることを私が直接伝えると、その父親は「何時まで働かせるんだ!!」。
子供を雇ってくれて有難うと言われたことはあるのですが、働かせたことで怒られたのは初めての経験でした。
地方だと働く習慣が無いため、従業員の親や配偶者の理解を得るのに苦労しました。
起業の結果について
人数(社員やアルバイト)
50名ほど
最大月商
5000万ほど
最大借金
3億ほど
結果(今の状態)
事業が計画通りに進まなかったことにより、借金返済が困難になり工場を手放しました。独立することを相談した際に「力になるよ」と言ってくれた者は、誰1人、助けてくれませんでした。
事業を始めるために、私は家族と離れ一人暮らしをしていたのですが、工場を手放し経営権も無くなったため、一人暮らしも辞め、現在は家族と一緒に暮らしています。
工場を手放しても個人の債務が残っているため、現在は借金返済に奮闘中。
再就職先は同じアパレル関係、サラリーマンをしている時からお世話になっている人の会社で、現在は雇われ工場長をしています。
経営者経験を買われ待遇は悪くない、しかし、あくまでアパレル業界内の話であり、他の業種の雇われ工場長と比べれば収入は若干安いです。
過去の自分が改善すべきだった点
工場を作った場所が完全に誤りだった、私から経営権を譲られた人も従業員に苦労をしている。
地方(田舎)の人は純朴で良い人なのだが、良い人イコール仕事が出来る人とはなりません。
サラリーマン時代の経験を活かして人を育てようと奮闘したのですが、石はどんなに磨いてもダイヤモンドにはなりません。
働く習慣が無い環境で育った従業員だと根本的に労働意欲が低い、子供は親の背中を見て育つように、私自身が手本とされるよう仕事に励んだのですが、私が励めば励むほど従業員との隔たりが大きくなってしまいました。
その土地にあった働き方をすべきだった、今となっては後悔しています。
これから起業する人へのアドバイス
なぜ、起業をする?勤めている会社に不満があるから、もっと稼ぎたいから。
組織の中で不満を持つ者は、起業をしても不満を持つ、なぜなら性格だから。
組織にいても能力があるなら、それに見合った給料を貰える、もしくは他社から引き抜かれる。
給料が安いと思ったら転職する気があることを上司に相談してみよう、それでも給料が上がらないのであれば、必要とされている人材でないということ。
必要とされている人材なら、会社は手放したくはありません。
起業して会社を作っても、今度は貴方の会社から起業する者が現れるかもしれません。その時、貴方はその者のことをどう思う、応援する気になりますか、それとも裏切られたと思うのでしょうか。
今までの人生がどうであったのか、自分のことだけを考えて来たのか、それとも他人のことも考えて来たのか、起業後は今までの人生の結果が如実に現れるだけのことです。
起業するとなると反対をする身内もいるでしょう。身内が説得出来ないようでは、この先、起業しても他人を説得させることに手こずることでしょう。
起業に失敗すれば様々な人に迷惑が掛かる、何もかも失う恐れがあるため、失敗をしても帰れる場所だけは、どんあことがあっても確保しておきましょう。帰れる場所だけは、絶対に巻き込むな!!
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